宮崎県高千穂の「神楽」へ! 神話の舞台を小浪次郎が撮った
国の重要無形民族文化財に指定されている「高千穂の夜神楽」をご存知だろうか? 今回『Hypebeast』は、写真家・小浪次郎とファッションデザイナー・渡辺真史とともに、宮崎県高千穂へ向かった。夜神楽だけでなく、高千穂峡や天岩戸神社にある天安河原まで捉えた、知る人ぞ知る日本神話の里の姿をぜひ、旅する気持ちで見てほしい
日本には古くから、「神は万物に宿る」という言葉がある。これは太陽、月、嵐、さらには茶碗についた米粒ひとつにいたるまで、宇宙に存在するすべてのものには神様が宿っており、この神々を「八百万の神(やおよろずのかみ)」として祀ることで加護を受けることができるという、森羅万象に通じる思想である。
そんな八百万の神と強い結びつきがあり、日本の最高神「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」にまつわる神話が残る土地こそが、今回紹介する宮崎県高千穂町である。
高千穂町は、九州のほぼ中央部、宮崎県の最北端に位置する人口12,000人ほどの町。日本神話ゆかりの地として知られており、阿蘇山の噴火によってかたち作られた峡谷から成る「高千穂峡」や、雲海の名所として知られる「国見ヶ丘」など、まるで神話の世界に入りこんだかのような美しいロケーションが広がる、文化と自然が融合したパワースポットだ。
東京生まれ東京育ちのファッションデザイナー・渡辺真史は、「日本の神様たちがすごく身近に感じられる場所。いろんなところに神様が祀られていて、町全体が神様の存在を大切にしていることが伝わる。時が経っても変わらない場所というか、神秘的ですね」と、町の第一印象を語る。その傍らで、町中にちりばめられた神様をモティーフにしたモニュメントやお面、そして幻想的な景観を、写真家・小浪次郎が静謐に捉えていった。
夜神楽について
さて、いまでこそ年間140万人以上の観光客でにぎわう高千穂町だが、昔は貧しい土地だったゆえに、荒神様と呼ばれる山の神様や五穀豊穣をもたらす水源の神を信仰していた。そして、この豊作祈りそのものが「夜神楽」である。
夜神楽とは、里ごとに氏神(うじがみ)様を「神楽宿」とよばれる民家などに招き、一晩かけて三十三番の神楽を奉納する神事。その年の収穫の感謝と五穀豊穣を願うためにうまれたもので、平安時代末期から鎌倉時代にかけて成立し、江戸時代の終わり頃まで神職を中心に伝承された。そこから高千穂に点在する集落の代表者が神楽の舞いを学びはじめ、農夫たちによって様式化されていったものとされている。
神事といっても、夜神楽を観るときは拍手や歓声をおくってよいほどカジュアルだ。ファンのなかには演者である舞手に手をふったり、握手をもとめたり、黄色い歓声を送る人もいるなど、コンサートさながらの活気があるのも特徴的である。また1972年から「神遊び」とも呼ばれ、神様とともにたのしむ一夜限りの祝祭である。1972年から高千穂神社の神楽殿では毎晩20時から21時まで奉納される「高千穂神楽」を観ることができ、現代にあわせてローカライズされている。基本的に毎晩開催されているので、宮崎県を旅することがあれば、ぜひこの伝統芸能である夜神楽を観に立ち寄ってほしい。
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