MINI の電気自動車を軽井沢で乗ってみてわかった5つのポイント

キュートに加えてクレバーになったニュー「MINI」 。なかでもEV化した“クーパーSE”を試す

オート 
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ついに「MINI(ミニ)」シリーズにもピュアEVがラインアップされた。2024年3月にCOOPER(クーパー)およびCOUNTRYMAN(カントリーマン)にEV搭載グレードが追加され、2024年6月にはEV専用モデルACEMAN(エースマン)がお披露目された。これにて「MINI」の3車種でEVが選択可能になったことになる。

今回、軽井沢で試乗の機会を得たのは、クラシックな「MINI」と最新の「MINI」、両方の要素を併せ持つ“COOPER SE 3 DOOR”だ。その良さを、5つのポイント(外観、インテリア、MINI APP、パワートレイン、走行性能&乗り心地)に絞って解説する。

外観

これまで“クーパー”という名前は「MINI」のスポーツモデルに与えられるグレード名だったが、ニューモデルからは3ドア/5ドアを問わず、ハッチバックモデル全般を示すようになった。そんな最新のクーパーのEVモデルとなる“クーパーSE”は、1959年に誕生したオリジナルミニと同じく3ドアハッチバックのボディをもっていることから、「MINI」の基本形だといえる。ゆえにデザインもクラシックだ。おなじみの丸型ヘッドライトとショートオーバーハングを受け継ぎ、ひとめで「MINI」と分かる。先代から採用されている、ユニオンジャック模様に光るテールランプも健在。ただし新型になり、加飾パーツは削ぎ落とされて、シームレスなフォルムに変化したことでEVらしさを示している。

ボディサイズは全長3860mm、全幅1755mm、全高1460mm、そしてホイールベース2525mm。クラシックミニこそが『MINI』だ! と考える人にしてみれば大きいと感じるかもしれないが、安全性や走行性能の観点から年々サイズを増している昨今のクルマ事情を踏まえれば、じゅうぶんコンパクトで、貴重な存在だ。

インテリア

新生「MINI」の進化がもっとも感じられるのはインテリアだ。1959年に誕生したクラシックミニからインスパイアされたというが、ただのレトロ風に終わらず、新鮮味とユニークさを感じる。

キャビンに足をいれるとまず目に入るのが、ダッシュボード中央に佇む円形のタッチスクリーン。エアコンやナビゲーションなどの機能はこの有機ELディスプレイに集約される。

いっぽうで、シフトセレクターや運転モード切り替えスイッチ、オーディオのボリューム調整つまみといった、運転中におこなわれることが多い操作部分については物理的なスイッチが残されている点に好感が持てる。

運転席まわりがやけにスッキリしているのは、メーターパネルが廃止されたから。代わりに、速度やナビなどの情報はヘッドアップ・ディスプレイに映し出される。運転中に過不足を感じることはなく、見晴らしの良いダッシュボードは車両感覚を掴むうえで役立つ。

少ないパーツで構成されているのはデザイン性のためだけではなく、サステイナビリティを考慮する意図も含まれているそうで、レザーやクロームメッキを排除し、ダッシュボードは一般的な樹脂製のそれではなくリサイクル・ポリエステルが採用されている。

MINI APP

専用スマホアプリ「MINI APP」についても触れたい。新型「MINI」なら、アプリを通じて車両の状態をリアルタイムで確認でき、バッテリー残量や車両メンテナンスの確認が可能だ。また、目的地の設定や温度管理も離れた場所からコントロールできる。たとえば旅行中にサービスエリアで休憩しながら行き先を決め、事前にスマホでセットしておけば、乗り込む頃には環境が整っているというわけだ。

ちなみに写真の通り、スマホの中のお気に入り画像を円形ディスプレイの背景画像に設定することもできる。このアプリに初めて触れた筆者だが、ユーザーインターフェースは分かりやすく、もし「MINI」オーナーになったら日常的に使うだろう、と想像できた。

パワートレイン

「MINI」クーパーには3ドアと5ドアが存在するが、EVは3ドアモデルにのみ用意される。グレード構成はスタンダードな「E」と、高性能版となる「SE」の2種類。違いは出力と航続距離で、クーパーEは最大出力184ps、最大トルク290Nm、航続距離344kmで、クーパーSEになるとそれぞれ218ps、330Nm、446kmとアップする。モーター1基を搭載し、前輪を駆動する点では同じだ。出力自体にさほど大きな違いは無いため、決め手は航続距離になるが、現在の日本における充電スタンドの普及具合を考えると、バッテリー容量は大きいに越したことはないだろう。

シフトをBレンジにいれると自動制御の回生ブレーキシステムが作動し、アクセルのオンオフだけで発信・停止をコントロールできる。航続距離を伸ばしたいなら、普段からワンペダルドライブにするのが良さそうだ。

走行性能および乗り心地

「MINI」というブランドは伝統的にゴーカート・フィーリングをウリにしてきた。文字通り、ゴーカートに乗っているかのようなキビキビとした走行感覚のことだが、電動モーターを搭載したクーパーSEは、ゴーカートのような「スリルを楽しむ」感覚とは無縁なほどに剛性感が高く、そして静かなのが印象的だ。足回りも、試乗車が標準ホイールのうち最大の18インチを履いていたためか多少のコツコツ感はあれど、路面の凹凸に対してよく動いて収まり、安心感がある。

では、「MINI」らしい運転の楽しさを失ったかのかといえば、それはノーだ。EVならではのパワフルなトルク特性や、バッテリーをボディ床下に格納したことによる低重心化によって、走る、曲がる、止まるという基本的な動きが素直で気持ちが良い。ミニ・エクスペリエンスモード(いわゆる走行モード)を「ゴーカート」モードに変えれば、円形タッチスクリーンがスピードメーターに変わるとともにステアリングが重くなり、アクセルレスポンスが鋭くなる。ペダルを強く踏んで加速すれば、まるでSF映画のタイムマシンのようなサウンドが響いて気分をアゲてくれる。最新技術による演出の助けを得つつ、クルマとの一体感を大切にする姿勢は、まさに新時代に適応した「ゴーカートフィーリング」の方向性だといえる。

MINI COOPER SE
全長×全幅×全高:3860mm×1755mm×1460mm
ホイールベース:2525mm
最低地上高:124mm
車両重量:1640kg
モーター種類:交流同期電動機
モーター最高出力:160kW(218ps)/7000rpm
モーター最大トルク:330Nm/1000〜4500rpm
バッテリー容量:54.2kWh
総電圧:398.2V
一充電走行距離:446km(WLTCモード)
電費:133Wh/km(WLTCモード))
駆動方式 FWD(前輪駆動)
最小回転半径:5.1m
乗車定員:4名
車両価格:531万円(税込み)

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テキスト
フォトグラファー
Eric Micotto
Writer
Go Yonenaga
エディター
Noriaki Moriguchi / Hypebeast
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