パリコレを中心に Apple iPhone 16 Pro を取材で3週間使ってみた
ファッションエディター目線で甘口レビュー
先日、ついにリリースされた「Apple(アップル)」のiPhone 16シリーズ。発売直後にパリ・ファッションウィークが控えていたため、ゲットした早々に取材で酷使してみた(いつも通り、一般的なユーザー目線からのレビューとなるので、プロ目線での突っ込みはご容赦ください)。
iPhone 15 ProとiPhone 16 Proは見た目に差はほぼない。ディスプレーが6.1インチから6.3インチになったため、重さも12g増えているが、ケースを付けずに使用していたためか気になることは一切なかった。目玉的な変更点と言えば、本体サイドの右下に搭載されたカメラコントロール(タッチセンサーを内蔵したボタン)だろう。筆者は99%縦位置で撮影するので、あまり関係なかったが、横向きにするとカメラコントロールは、ちょうどシャッターを押す位置になる。カメラ性能については、48MP Fusionカメラ、5倍望遠カメラ、48MP超広角カメラを実装(詳しいスペックは公式サイトから)。日本では2025年に登場予定である「Apple」の独自生成AI “Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)”に対応したA18 Proチップを搭載した同機種。ちなみに“Apple Intelligence”に対応しているのは、iPhone 16シリーズとiPhone 15 Proシリーズのみだ。ファッションウィークの取材では、動画を大量に撮るため、充電環境が肝。少し時間が空けばホテルに帰って充電したり、近年はモバイルバッテリーを3つ持ち歩いていた。iPhone 16 Proのバッテリー容量はiPhone 15 Proから10%弱ほど増加したと言われており、公式サイトによれば、15 Proと比較してビデオ再生が最大4時間長くなったとのこと。毎度肌感で申し訳ないが、丸1日iPhoneを触りっぱなしな状態でも、ギリギリ大丈夫だった(モバイルバッテリーが1つあれば安心)。
個人的に歓喜した新機能は“オーディオミックス”。iPhone 16で撮影した動画は、空間オーディオで収録されており、後加工でフレーム、スタジオ、シネマティックの3種類から声の聴こえ方を調整できる。従来のiPhoneでも録音性能はかなり良かったが、取材となると、よほど静かな環境以外は、小型のマイクを付けてコメントやインタビュー録りをすることが多い(よく見るセレブリティがマイクを持って話している類の動画が、これに該当する)。口元近くにマイクがあるので、もちろん音声ははっきりするが、マイクの充電や持ち運び、付けたり外したり、さらにはいわゆる機材トラブルで無音になっている箇所があったり、何かとバタつく・不安要素があるので地味にストレスだった。なので、このアップデートは自分にとって朗報。まずは初日に同じスケジュールで動いていたモデルの井上ヤマトで実験(ヤマト、ありがとう)。〈Casablanca©(カサブランカ)〉のショー終了後にバックステージで彼の所感を収録した。周囲がうるさい環境だったが、正面からはっきりと喋ってもらったので、後の調整でかなりクリアに聞こえる。
逆にiPhoneに向かって話していない状態(例:囲み取材で、周囲の騒音と誰がメインで話しているのかはっきりしない状況)だと、本来拾いたい音声も雑音と認識されてしまい、全体的に機械音のようになってしまう。〈Balenciaga(バレンシアガ)〉の囲み取材では、最初デムナ(Demna)は、筆者のいた位置とは逆側を向いて話していたため、その場で声はほぼ聞こえず、後の修正でも先述のような音になってしまった。その後は、こちら側に顔を向けて話したので、周囲の環境はうるさくも、録画後の調整でだいぶ聞き取りやすい状態に。目安としては、自分が対象の声を聞こえない状況下だと、オーディオミックスはうまく機能しないと考える。
また、iOS18からのアップデートでもう1つかなり便利になったのが、録画時の一時停止機能だ。いざ録画を開始したが、なかなかお目当てのものが始まらないという経験は、多くの人にあるのではないだろうか。その場合、長回しか一旦切って再開の2択となると思うが、今後は一時停止の一択で問題なし。ファッションショーの取材では、フィナーレでモデルがもう1度歩く率が高いので、そこがシャッターチャンスになるが、カメラを構えて録画を開始しても、なかなかモデルが登場しないことも多い。そういった際に、画面左下の一時停止をタップすれば、録画を中断。再開はまた同じ箇所をタップすればいいだけだ。一時停止で撮影した動画は、切れ目など特に気になるところはない。
さて、動画の話が続いたが、通常の写真にも触れておこう。冒頭で述べた通り、カメラコントロールを実装したことで、画面ロックを解除することなくカメラを起動できる=咄嗟のシャッターチャンスを逃す可能性が軽減される。カメラコントロールからズームや露出などの調整もできるが、タップ、ダブルタップ、スライドが基本操作になるので、匙加減が分からず、ボタンを押してしまって、撮りたくもない写真を撮ってしまう人も筆者の周りに実際にいた(「Apple」ユーザーであれば、慣れればそこまで難しくないはず)。また、こちらも新たな機能となる“フォトグラフィスタイル”は、撮影前でも後でも、画面上のコントロールパッドをいじりながら、トーンとカラーを調整できるので、より直感的に自分好みにできる。
唯一難点だったのが、バグのなのか自分のiPhoneの持ち方が悪くかったのか、動画の音がこもってしまう現象が複数回発生したこと。素材としては使えなくないのだが、オーディオミックスが優れている分、より一層残念に感じた。というわけで、今回は取材という特殊な環境下に特化してiPhone 16 Proをレビューしてみた。同じような業種で仕事で使うiPhoneを使う機会の多い方にはおすすめしたい。